「今週のことば」 2014年7月

<7月 第4週>
早宮校 講師  中岡 秀彰

 青は藍(あい)より出でて藍よりも青し

 教えを受けた者が教えた師よりも優れていることをあらわすたとえであるが「出藍(しゅつらん)の誉れ」の言葉通り、これほどの教師冥利はない。
 最近、作文講座に入ってきた小4の女の子は体験授業の時から顔つきが違っていた。吉田松陰が愛した美徳の一つ「頑質(かたくなな気質のこと)」がまさしくこれであろう…という表情だ。
 その頑質がいきなり爆発した。
最初に書いてもらった作文にキラリと光るものがあったので新聞に投稿してもらうことにした。多少こちらが修正して清書してもらったが出来た原稿は元のままの表現に戻っている。自分の書いた文章に対する「思い」にブレがない。
 作品は見事、掲載ということになったが、掲載当日にお母さんから電話があった。新聞社側で手直しをしたものが掲載されたのだが、それでは「わたしの作品」にならないと憤慨しているのだという。
 ダイヤの原石を見つけたような気分であった。これまで新聞に掲載された生徒を何十人も見てきたが、皆、新聞に掲載されるという事実に舞い上がってしまい自分の作品がどうイジられたか省みないというのが実情だ。彼女は自分の作品にこだわりとプライドを持っている。
 そして何より、彼女は「もの書き」として最も重要で不可欠な要素を持っている。それは「書く面白さを知っている」ということだ。ただ「楽しい」「うれしい」「悲しい」と平凡に書くことが悔しくてならない。どう表現をひねるか、どう読者の意表をつくか、時には半日も机の上の原稿用紙とにらめっこしているのだそうだ(お母さん談)。ゲームやインターネットよりはるかに楽しい創造の妙味を知っているのだろう。
 語呂合わせでもないが「教育はアイ」だと思っている。是非、アイから出た青が「青雲の志」となって社会に貢献してもらいたいものだ。 



<7月 第3週>
AO石神井公園校 講師  田中 浩介


一人の小学生を教えていた時、塾長先生が通りかかって、いきなり
「君の将来の夢はなんですか。」
と尋ねたら、
「獣医になることです。」
「そう。でもどうして?」
「ずっと前、道で動物が倒れていて、それを見たときから助けられるようになりたいと思ったんです。」
「そうか、その夢をずっとずっと思い続けるんだよ。」
その会話を横で聞いていて、本当に感心しました。何のためらいも迷いもなく即答した男の子。まだ小学生。これから10年以上の間にはどんな困難や紆余曲折があるかしれないのに・・・、答える顔には、ちょっとはにかみの笑顔が浮かんでいました。本当に遠い将来そうなれるよう、応援してあげたいと、こちらも心素直に思わされました。
  これから暑い夏休みがやってきます。塾においては、「夏期講習会」がスタートします。中3受験生は各教室での講習会の他に、世界遺産になった富士山のふもとで、「夏期勉強合宿」が開かれます。その合宿の今年のテーマが「志」こころざし。何のために勉強し、高校に行くのか。「成績を上げるため」「いい高校に入るため」それもいいのですが、そのもっと向こうにある、夢と目標をしっかりと持ってほしい。そして、それをつかむために、汗し、時には涙する青春を送ってほしい。そういう願いで、合宿のスタッフは生徒たちにあたります。
  そして、それは中3受験生だけではなく、エースの全生徒に思うことです。
Boys, be ambitious!



<7月 第2週>
AO大泉学園校 室長  有川 正志


「花はなぜ美しいか。ひとすじの気持ちで咲いているからだ。」
これは私の好きな詩の一節である。

ある日のこと
「よいしょ、よいしょ、よいしょ・・・・」と外の階段を登る声がした。入口のドアが開いた。
「はあー ついた。こんにちは!」と元気な声。小2のEちゃんだ。肩で息をしている。
「こんにちは。よく来たね。」といつもの席に案内する。

「どっこいしょ。」と重い重い手提げかばんを机の上に置いた。
「宿題はやってきた?」
「はい、ぜんぶやりました!」とEちゃん。まだ、肩が上下に揺れている。
「よく、がんばったね。先生が丸付けをするから、終わるまで、これをやっててね。」
と算数のプリントを渡した。

隣の生徒の解説が終わり、Eちゃんの席に戻った。
「Eちゃん、Eちゃん」と大きな声で呼んでも返事がない。
鉛筆を持ったまま熟睡している。肩をたたいても全然ダメだ。
今日は、たしか学校は、5時間授業で、体育がある日。あまり体力がないEちゃんは疲れきっているようだ。

10分程時間が経った。
「先生、ごめんなさい。ごめんなさい。」突然、Eちゃんが目を覚ました。
「いいんだよ、学校でもがんばってつかれたんだよね。」まだねむそうなので、
「今日学校でどんな勉強したの?給食はなんだったの?」と尋ねたところ、目を輝かせて
「あのね・・・・」とめどもなくいっぱいいっぱい話してくれた。
その後は、終わりのチャイムが鳴るまで眠くなることなく一所懸命勉強した。

いつのまにか私の目に涙があふれ、胸が熱くなった。
ちっちゃいからだで、いちずに一所懸命生きている。今の私はどうだろうか?
Eちゃんは私の先生だ!本当にありがとう!

生徒一人一人がかけがえのない尊い存在であり、天与の個性と才能が与えられている。
ただそれを磨き美しく輝かせてあげたい。



<7月 第1週>
東所沢校 講師  関 智之


 科学技術の進歩の速さは私たちの想像以上で、ただただ驚かされるばかりである。
それによって私たちの生活は目覚しく変化し、より便利になり、快適になっている。
そのように思うのは実は間違いかもしれない。

 最近そう思わされる事が教室内であった。
私の教室ではついこの前まで父母面談があった。
「スマホをどうするかが本当にこれから大変だと思います」
この言葉と同じような意見を少なくとも3人のお母さんから頂いた。
本当に最近の学生は大変である。
本人の勉強に対するやる気は個々人で差があるが、それ以外に子供たちの勉強をしようとする気持ちに、こともあろうに科学技術の進歩の叡智といってもいいスマートフォンが、弊害を与えているのである。
例えば「LINE」というアプリによって、リアルタイムで見えなくてもいい周りの友人知人の状況がわかってしまうのである。
「あの子も今勉強してないから自分も大丈夫かな・・・。」などという、受験生のやる気をなくしてしまうような状況に簡単に追い込むことのできるのが、スマホになってしまっている。

 私の教室にAさんという子がいる。
その子が最近、友人や私たちに公言してはばからないセリフが「私、夏からLINEやめるよ!」である。
携帯がまだ、大人の機器であった時代に10代前半を過ごした私にとって、そのことがどれほどの決意の要るものなのかは推し量ることができない。
けれども昨今の中高生を取り巻く風潮や様々なLINEにまつわるニュース等を見聞きしていれば、それがその子にとって、今までの生活を一変させる一大決心であったろうと思う。
普段の様子を見ていると果たしてこの子がLINEと切り離された生活ができるのかと思うくらい、ドップリ浸かっているのだが、私としてはまずはその決意を褒めてあげたい。
勉強面では、中々思うように結果が出ず、本人も辛いであろう。こちらとしても辛抱の糸がプツリと切れそうになるときもある。

ある本に「教育とは、まず教える側が、その子を絶対的に信じてあげることである。」とあった。
Aさんがまだ見ぬ受験戦争という厳しい戦いに立ち向かう切り札的な武器として決断した「LINEやめる」に対して、まずはエールを送ろう。
そしてその決意が必ず来春に実を結ぶであろうことを、共に信じて、この夏に挑んでいこう!


「今週のことば」 2014年6月
 
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