「今週のことば」 2016年7月

<2016年7月第3週>
早宮校 講師 中岡 秀彰


蝉しぐれのように
 

 今年の関東地方は空梅雨だったからであろうか。梅雨明けを待ちきれぬように蝉が羽化して、通勤途上の並木道は蝉しぐれでさざめいている。時を惜しむかのように鳴く声は生命力のかたまりだ。
 先日、「英語で学べば英語はできる(国際語学社・刊)」などの著書で知られる英語教育の大家・西ジェームス先生をお招きしての社内研修がおこなわれた。高校卒業後に裸一貫で渡米し、コロンビア大学で英語力を涵養されただけに英語学習に対する一つひとつの言葉に重みがある。英語習得は教材が暗唱できるようになるまで何度も何度も音読することが一番のコツとのこと。西先生の音読に対する基準はまことに明確で、回数の目安でいえば200回、完成度が高まると読む声に張りが出てきて、声の調子ですぐにわかるのだそうだ。
 これまで決して英語の音読を軽んじてきたわけではない。生徒たちには音読の重要性をクチが酸っぱくなるほど力説し、英語の教科書をアレンジした音読用冊子をつくって小テストもした。よく出来た生徒はほめてもきた。
 しかし生徒たちの受験勉強としての「音読」の優先順位は決して高いとはいえない雰囲気だった。たしかに過去問を解いて経験値を上げることが合格の近道であるように生徒たちは考える。実際のところ、私自身が音読は家庭学習でするよう指導し、授業ではもっぱら試験問題を解くノウハウを伝えることに終始した。優先順位の上がりようがない。
 そして今年の春、志望校が不合格だった生徒の受験体験記に「先生が言った通り、音読をしっかりやっとけばよかった…」の文字が申し訳なさそうに並んでいるのを見た時、口では音読の重要性を訴えながら行動がともなっていなかった私自身に責任があることを痛感した。
 もし、本当に音読の重要性を生徒に伝えたいなら、授業準備としてこちらが音読を何度もしておかなくてはなるまい。そして、張りが出るようになった声で音読の手本を示したなら、生徒たちの心におのずと響き、「先生のようになりたい」と思って音読に励み始めるであろう。研鑚も怠惰もすべて声に現れることを教え られた。
 命の限り鳴き続ける蝉の声に心が揺さぶられるのに合点がいった。今年の夏期講習は教室内が音読の蝉しぐれになるようにしていきたい。



<2016年7月第2週>
高崎校 室長 小川 真一郎


夏休み前だから確認しておこう。
模擬テストの利用法
 

 塾や学校で、中3や高3ともなると毎月のように模擬テスト(実力テストなど塾や学校によって呼び方はいろいろありますが)が行われます。
 受験学年でなくても、塾だと夏休みの最後、学校だと夏休み明けに模擬テストが実施されることが多いはずです。
 模擬テストを受けると点数・順位や偏差値そして志望校判定などが結果として出てきます。「結果が出ればそれで終わり。」と考えている人が意外と多いかもしれません。
 
 実は、模擬テストというのは、結果が出た後、最高の教材となります。
 入試本番でも出題されそうな重要な問題ばかりが出ていて、しかも自分ができないところがわかる貴重な教材です。
 これを復習しないなんて、あまりにももったいないと思いませんか。
 次の模擬テストあるいは入試本番で、同じ内容の問題が出る可能性が十分あるのに、それを身につけようとしないなんて、効率が悪すぎませんか。
 テストのやり直しこそ、力をつけるために、優先して時間をかけるべきです。
 
 ただ、テストの復習の仕方にもコツがあります。
 難しいところはあとまわしにして、自分がもう少しでできそうなところに集中することです。
 例えば、100点満点の数学の問題で、50点取ったとします。入試の目標点が70点だとすると、落とした50点のうち、あと20点取ればよいのです。入試で100点満点取る必要はありません。落とした50点のうち自分の実力で確実にできる見込みのある、あと20点分に力を集中します。その20点分は、テスト問題そのものをくり返し練習し、類題をできるだけ解きます。
 塾や学校の先生に質問するのもよいでしょう。
 そうやって、自分の実力でできる範囲の問題は、徹底的に復習します。
 落としてしまった50点のうち、解説を読んでもさっぱりできないところはとりあえず放っておきます。ところが、できるところから確実に身につけてゆくと土台が固まり、不思議と難しいと思っていた問題もできるようになることがあります。
 
 夏休み前後あるいは夏休み中に受ける模擬テストを上手に利用して、大いに力をつけて、学習面でも充実の夏休みとしてください。
 これからも生徒の皆さんを精一杯応援してゆきます。



<2016年7月第1週>
向山校 講師 藤河 健太
 
「数学って将来何の役に立つの?」 
 

生徒からよく聞かれる質問だ。
生徒からすれば、日常生活で見ることのない謎の記号やグラフが登場し、たくさんの公式を暗記しなければならず、「何の役に立つの?」と言いたくなるのもよく分かる。
 
教える側からすれば、数学ほど人類の役に立っている学問はないと思う。
スマホの設計とアプリの開発、家の設計と建築、電車の運行、データ通信のセキュリティ、部活で使う道具の設計と生産等、全て高度な数学が使われている。
つまり数学がなければ私たちの生活は成り立たないということだ。
そして身近なものに数学が使われているということは、それに関連する多くの仕事で数学が必要だということだ。
(どんな仕事に、どのような数学が使われているかについては別の機会に詳しく述べたい。)
つまり、数学が得意だと選択できる職業の幅が広がるということだ。
 
ここまでは実学としての数学の必要性を述べたが、
数学を学ぶ最も重要な目的は問題解決力を養うことである。
数学の勉強をすることで以下の5つの力を身につけることができる。
①把握力(データや文章から情報を読み取る力)
②分析力(読み取った情報を加工する力)
③選択力(数理的な根拠をもとに最適な選択肢を選ぶ力)
④予測力(今後の状況を予測する力)
⑤表現力(説得力をもって相手に伝える力)
 
この5つの力を訓練することにより、仕事上の課題や人生において直面する問題を解決するための力を養うことができる。
つまり、私たちは数学の勉強を通して、
直面する問題を解決しより幸福な人生を送るための力を身につけているのである。
そのような意義があることを知って数学の勉強に取り組んで欲しい。



「今週のことば」 2016年6月
 
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