「今週のことば」 2015年7月

<2015年7月第5週>
石神井本校 講師  吉田 満典

「なるほど、とてもいい質問だ。」
 
中3の数学の授業。
4月から授業内容が展開、因数分解、平方根、2次方程式と、ほとんどが計算中心だ。うんざりするぐらい計算演習をやり続けると、誰もが嫌になってしまう。でもそんな中、ある女の子だけは違っていた。
「これ、おもしろい。わたし、これ結構好きかも。」
どうみても数学は苦手な子である。この爆弾発言に周りの生徒たちはすぐに反応し、一斉に否定的な叫びが飛び交う。彼女はお構いなしに、正解が一つ一つ増えるたびに喜びの声をもらしながら、自信を深めていった。
そんな彼女が、ときどき唖然とするような質問をする。そんな時は、思わず苦笑しそうになる。でもそんな表情は見せずに、どんな基本的な初歩的なことであっても、私はいつもこう言っている。
「なるほど、とてもいい質問だ。」
 
別の女の子。
例題を丁寧に説明したあとに、彼女がきまって質問をしてくる。質問というより不平不満(?)・・・なのかもしれない。
「先生!わたし、ここ全部わかりません。」
こ ちら側が全否定され、とても落ち込んでしまうぐらいの強烈な質問ぶりだ。しかし、彼女がいままでに出会った先生に、「今、説明したばかりじゃないか!こん なこともわからないのか!ちゃんと聞いとけ!」と全否定され、とても落ち込んでしまうことばを浴びせられ続けてきたのかも知れない。そう思うと、彼女がか わいそうに思えてくる。
本当にやりたくなければそんな質問もしないはずだ。心の底にはわかるようになりたい気持ちがある。もしかしたら、質問内容 とは関係なく、まずこんなわたしを受け入れてくれるのかという「公開質問状」を叩きつけているのかも知れない。あなたも今まで出会ってきた先生と同じなの かと。だから私はその子に本気で「決意表明」を伝える。
「だいじょうぶ、だいじょうだ。絶対にできるようになるから。」
案の定、再度丁寧に一から説明をし始めると途中で「わかった!続きはちょっと自分でやってみるわ。」と前向きになる。
どちらの生徒も、今、確実に数学の力がのびて、やる気がアップしている。



<2015年7月第4週>
大泉学園校 講師  木津 誠一


「勉強のやる気を引き出す原動力は?」
 
中国の古典『論語』の中で、孔子は言う。
 
学びて時に之を習ふ、亦説(よろこ)ばしからずや
 (習ったことを機会があるごとに復習し身につけていくことは、なんと喜ばしいことだろうか。)
 
生徒にいかにして「勉強の楽しさ」を教えるか。これは私の研究テーマでもある。
 
勉強が好きな生徒もいるが、そうではない生徒も多くいる。そのため、授業の中で分かりやすい例え話や、おもしろいゴロあわせのような覚え技などの工夫もする。
 
た だ、教えられて身につけていくのは、はじめの導入の部分である。そこから先は、生徒自身が学び取っていかなければならない。そのとき、勉強のやる気を引き 出す原動力になるのが、今までできなかったことができるようになったときである。つまり、「分かった!」という喜びである。日々の授業で、家での宿題で、 何よりも感じてほしいのが、この「分かった!」である。
 
最近、積極的に質問をしに来る生徒がいる。成績を上げようと必死になっている気持ちが直に伝わってくる。そしてその生徒は、「苦手だ」という英語でも、徐々にではあるが確実に「分かった!」を増やしつつある。
 
この夏、大泉学園校の多くの中3生は、授業だけでも5コマ、さらに自習や家での学習時間を加えて、1日10時間以上勉強することに挑戦している。はじめは大変そうに見えたが、最近は生き生きと楽しんで勉強する姿も見られる。
 
学問(勉強)には苦労もある。しかし、その先には喜びがある。孔子が伝えたかったのは、そういうことではないか、と私は解釈している。この夏、生徒一人ひとりが「分かった!」を感じられるように、最大限投入していく。



<2015年7月第3週>
東所沢校 講師  関 智之

一つひとつの出会いを大切に


私の中学時代の同級生の一人から、突然10年ぶりの年賀状が届いた。
 
彼は、よく拳骨をつくり私の頭を“グリグリ”やるような、親友というにはどうかと思う程度の仲だった。学生時代はたまに会ったり、社会人になってからもしばらくは年賀状のやり取りが続いていた。

今年、10年ぶりに届いたその年賀状には大病を患ったと書いてあった。取り急ぎ連絡を取ってみたところ、現代の医療では完治が不可能な免疫系等の特定疾患にかかり、今は入退院を繰り返しているという。「寛解維持」といって、少しでも症状を和らげる治療を続けているそうだ。
 
何故、私に年賀状を出そうと思ったのかと聞いてみたところ、過去の年賀状を整理していたら、私の年賀状が一番懐かしく思えたという返事だった。その言葉を聞き、思わず私は言葉に窮して涙してしまった。うれしさとも恥ずかしさとも悔しさともつかない涙だった。
 
私の中の彼の存在は、年賀状がこなくなれば付き合いは終わるというほどのものだった。その彼が、生死の狭間をさまよった後で、かつての知人の中から私を再び選び出してくれたことに、なんともいえない気持ちが沸き起こってきたのである。
 
4月に入院し退院の予定が伸びているという。今、彼は治療のため京都にいる。いつか、必ずや再会を果たしたい。きっと再会することで、まだ果たしえていない特別な何かを果たさせるために、私たちを再び引き合わせようとしているのだと私は感じている。
 
私 は、今のこの仕事が好きだ。勉強を教えながら、柔らかい粘土のような純粋な子供たちと接することができる。「私の年賀状が一番懐かしく思えた」と友人は言 う。学力を向上させるための指導だが、将来、何かの時「勇気」や「支え」となるものを、勉強を通して子供の心に残せたらこれ以上の幸せはない。毎日一コマ 一コマ真剣に子供たちと向き合いこれからも指導していきたい。 



<2015年7月第2週>
東久留米幸校 室長 福永 浩之


学は人たる所以を学ぶなり
 

1年の半分が過ぎ去り、7月も2週目を迎えました。ついこのあいだ新学期が始まったと思ったのに、気付いてみれば、もうすぐ夏休みです。
 
時の流れと共に、季節もまた移り変わります。寒い冬、静かにかつ確実に準備し蓄えられた生命力が、暖かい春になって芽生え、花咲かせ、ギラギラした暑さ厳しい夏の期間を通じて鍛えられ、大きく大きく育ち、やがては実りの秋を迎えます。
 
生徒もこれに似て日々成長し、変化します。それぞれの個性に応じたそれぞれの実をそれぞれの時期に豊かに結ばせていきます。吉田松陰はこの話を「人の一生」という観点で捉えましたが、「勉強」という観点から捉えることもできそうです。
 
全く新しい単元を学ぶ時、初めは“手取り足取り”一から教えてもらわなければなりません。そうやって学んだことがらを、まず「分かる」段階にまで持って行きます。ここでは「なぜそうなるのか」“納得し、理解できるまで”教科書や授業ノートを読んだり、参考書やネットを調べたり、先生や友達に質問したりします。これが「春」です。
 
「分かる」ようになったら、次は理解した内容を「使える」ようにします。つまり「問題が解ける」ようになる段階にまで持って行くということです。ここでは「間違えた問題の解き直し」を徹底して行います。一度やった問題集を2巡、3巡と、繰り返します。これが「夏」です。
 
「使える」ようになったら終わり、ではありません。テストというものは“制限時間内で解く”ものだからです。つまり「速く解ける」ようになるところまで持って行きます。ここではストップウォッチを用いて「時間を計りながら解く」ようにします。問題を解く順番も重要です。何も考えずにただ“上から順番に”解くのではありません。また、“全ての問題を同じウェイトをかけて”解くのでもありません。「解き易いものから優先して解いて、時間のかかる問題は後に回す」といった“優先順位をつける工夫”が必要となります。こういった「訓練」をシッカリやってこそ、「合格得点」という実りを収穫できるようになるのです。これが「秋」です。
 
収穫したのだからもう良いではないかと思いますが、そうではありません。ここからが“本番”です。“勉強”して得た知識というものは、社会に出てから使わないものの方がむしろ多いと言って良いかも知れません。でも、勉強を通じて「これまで出来なかったものを出来るようにする」力を養うことができます。そして社会に出てから嫌でも直面することになる“正解というものが存在しない問い”に対して「自分の頭で考える」土台ができます。さらには“人間”とは一体何なのか“人として”どうあるべきなのか、どう生きるべきなのか、つまり「人たる所以」を考え実践できる準備が整えられます。これが「冬」です。
 
この仕事に携わりながら常々感じることですが、特に「夏」の期間に“本気”で取り組んだ生徒達の成長には、本当に目を見張るものがあります。「秋」になってからの伸び方が全く違います。まるで、水中を歩き回っていたヤゴが、トンボになって空中を飛び回るぐらい大変身を遂げる生徒も珍しくありません。
 
この夏、そんな生徒達のさらなる成長のお手伝いをさせていただき、生徒達自身が「人たる所以」を学んでいくきっかけを作ることが出来るならば、教育に関わる者としてこの上なくHAPPYです。




<2015年7月第1週>
AO向山校 室長代理  瀬戸 義弘
 
「解き直し」でテストをお宝にしよう!
 

6月中旬に中学校の前期中間テストがありました。
 
塾では少しでも良い点がとれるよう、テスト対策を行ってきましたが、部活が勝ち進んだため1週間前だというのに休みもない子がいました。なかなか計画通りにいかずに苦労している姿も見られました。
 
ようやく定期テストが終わり、結果が返ってきています。
 
結 果は良かったり、悪かったりありますが、点数に一喜一憂して終わってはもったいない、テスト後の「解き直し」が大切です。これには大きく2つの意味がある と思います。1つは、理解できない、覚えていないところを復習しマスターしておくこと。もう1つはその点数になった原因を探して、次のテストに反省を生か すことです。
 
そんな折、Eテレの『テストの花道』という番組で「テストはお宝だ!解き直しの極意」についてやっていました。解き直し は、ただ答えを見るだけ、写すだけはなく、ノートに間違えた問題をやり直し、完全に理解をするというものでした。そうすると点数がだんだん上がってきて、 受験の前にはそのノートが役に立ったそうです。
 
番組の最後に一番重要なポイントがありました。それは、解き直しは“hot”なうちにやることだそうです。解き直して提出させる先生もいるようですが、いま塾では解き直しと次につながる反省を生徒としています。



「今週のことば」2015年6月

 
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